脚の皮膚トラブル
について

脚の皮膚トラブルについて

脚は私たちの日常生活での「基本動作」を支える大切な部位ですが、その分、様々な負担が大きく、皮膚トラブルも起こりやすくなっています。
足先からくるぶし、すねにかけては、靴による摩擦や圧迫、蒸れ、乾燥など、複数の刺激が日常的に加わります。
また脚の皮膚では、加齢や血流の影響で問題が生じることも少なくありません。
そのため、皮膚科・形成外科の診療でも多くの患者さまが、脚のトラブルで受診されています。

「かゆみ」「赤み」「水ぶくれ」などの皮膚炎症状があったり、「皮膚がかさついてひび割れる」「足の裏の皮がむける」といった状態がみられたりする場合は、お早めにご相談ください。
そのままにしていると、悪化したり、慢性化したりして、日常生活に支障をきたすことがあります。

脚の皮膚トラブル例

脚の湿疹・皮膚炎

湿疹とは、かゆみを伴った赤みやブツブツなどが現れる、皮膚炎の症状を指します。
脚にあらわれる湿疹・皮膚炎は、年齢や性別を問わず多くの方にみられる皮膚トラブルのひとつです。
赤みやブツブツのほかに、腫れやじゅくじゅくした状態、かさぶたの形成などがみられることもあります。

すねや足首、ひざ裏にかけて目立つことが比較的に多く、原因としては様々なものが挙げられます。
乾燥や摩擦、汗による刺激によるものや、靴下、タイツなどの素材によるかぶれ(接触性皮膚炎)によるものもあります。
またアトピー性皮膚炎など、アレルギー体質による反応が原因であることもあります。
慢性的に掻いてしまうことで症状が長引いたり、色素沈着や皮膚のごわつきが残ってしまったりすることもありますので、注意が必要です。
また、脚のかゆみで夜に寝られず、生活の質を落としてしまう場合もあります。

治療には、原因に応じた薬(主にステロイド剤や保湿剤、抗ヒスタミン薬など)を用い、かゆみや炎症を抑えます。
また、生活習慣や衣類、靴などの選び方、保湿の仕方などのアドバイスもあわせて行うことで、再発を防いでいきます。

脚の乾燥肌・ひび割れ

脚、とくにすねやかかとに見られる乾燥肌や皮膚のひび割れも、皮膚科でよく相談される症状です。
皮膚が粉を吹いたように白くなったり、カサカサしてかゆみを伴ったり、ひび割れて痛みを感じることもあります。
冬場や高齢の方に多く見られますが、エアコンによる乾燥、長時間の入浴や石けんなどの使いすぎ(洗いすぎ)、ナイロンタオルなどで擦ることも原因になります。

このような肌の乾燥は、放置すると「皮脂欠乏性湿疹」と呼ばれる湿疹に発展することもあります。
また、皮膚は乾燥するとバリア機能が低下し、外部の刺激に敏感になることや、細菌が侵入して感染症を引き起こすリスクもあるため、早めの対処が重要です。

かかとに関しては、皮脂腺がないため、非常に乾燥しやすくなっています。
さらに体を支えるため、厚い角層に覆われていますが、これが、柔軟性が失われて硬くなると、やがてひび割れを生じてしまいます。
重症になると痛みや出血を伴い、感染を引き起こすと化膿してしまうこともあります。
とくに糖尿病などの基礎疾患がある方は、重症化する危険があるため、注意が必要です。

治療では、まず十分な保湿が基本となります。
ヘパリン類似物質や尿素配合の保湿剤などを適切に使用し、皮膚のバリア機能を回復させます。
また、洗浄時には低刺激性の石けんを用い、皮膚にやさしいケアを心がけることが再発予防につながります。
ひび割れの炎症が強い場合は、ステロイド外用薬を用いることがあります。
ひび割れが深い場合は、傷が開かないよう、特殊なテープで保護する処置を行うこともあります。

水虫(足白癬)

水虫は、白癬菌というカビ(真菌)によって引き起こされる感染症で、足の指の間や足裏、かかとにかゆみや皮むけ、水ぶくれ、ひび割れなどの症状を引き起こします。
とくに高温多湿な環境で菌が繁殖しやすく、長時間靴を履く習慣のある方やスポーツをする方、高齢の方に多く見られます。
感染力が強く、バスマットなどなどを介し家族内でうつるケースもあるため、早期の診断と治療が大切です。

治療には、抗真菌薬の塗り薬を中心に行います。
症状や部位に応じて塗り薬を使い分けるほか、難治性や広範囲に及ぶ場合には内服薬を用いることもあります。
再発を防ぐためには、足を清潔かつ乾燥した状態に保つことが重要で、靴や靴下の通気性にも気を配りましょう。

なお、水虫には湿疹などに似た症状のものがあります。
市販の水虫治療薬などを用いると、水虫ではない湿疹を悪化させる場合があります。
また水虫に市販薬を使用していると正しい診断ができず、その結果、適切な治療ができずに、再発を繰り返してしまうこともあります。
そのため、水虫が疑われるような症状がある場合、自己判断せず、お早めに皮膚科で検査を受けることをお勧めします。
皮膚科では、場合によっては顕微鏡や培養検査などにより、正確な診断を行っていきます。